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労働者の腰痛や膝関節痛をいかに防ぐか ―効率よりも安全性への配慮を―


戦後しばらくの間、米俵は一俵60kgであった。多くの農家の働き手は高齢者となり、腰痛や膝関節痛に悩まされ、後期高齢者となった現在、生活の質の低下と医療費の増加の原因となっている。そして現在、米袋は30kgとなっているが、それでもなお同様の症状を訴える米農家の熟年層の働き手は少なくない。

また最近、一般の宅配便の制限重量は30kgに増加された。結局、農業者も運送業者も、一個当たり30kgの重量に曝され続けている。特に宅配便のトラックから個々の住宅やエレベータのないアパートなどへの運搬においては、労働者の負担が大きく、腰痛などの症状が頻発している。そして退職者や労災申請の増加も危惧されるところである。例えば一個当たり20?以下であれば安全ではないだろうか。

厚生労働省は単に医療費抑制に突き進むだけでなく、この実態を注視し産業界を指導して、効率重視から労働者の健康と安全重視の作業環境管理にも努力してほしいものである。